人々の健康意識の高まりと共に良いオイルを使うということが昨今注目されるようになってきています。
オリーブオイルを良く使う食事は地中海食(地中海式ダイエット)をイメージする方が多いと思いますが、地中海食は米国の情報誌「U.S. News & World Report」のBest Diet(最高の食事)で2019年から3年連続で選出されています。地中海沿岸では古くからオリーブオイルが食事や医療、宗教の儀式などに使われてきており、ギリシャ神話等の神話の世界にも登場してくるほどヨーロッパでは生活の中に深く関わって使われてきました。
IOC (International Olive Council)が公表しているオリーブ木の世界への広まりを紹介します。
人類が始めて口にしたオイル
植物油の採取方法は一般的に種からオイルを絞りますが、オリーブオイルは主に果実から搾り取られるオイルです。その果実から搾り取ることができるという特性上、人類が始めて口にしたオイルはオリーブオイルであると言われています。アラビア語でオイルは、オリーブオイルを意味する様にオリーブオイルしか当時はなかったということが伺いしれます。
化石として発掘されているオリーブ
起源については”Lost in time”ということで明確には判明してはいないというのが見解ではあるのですが、”The existence of the olive tree therefore dates back to the twelfth millennium BC.” とのことで歴史上確認できているのは紀元前12,000年に遡ることができるといっており、その根拠としてはスペインの旧石器時代や青銅器時代の発掘調査にて野生のオリーブの木が発見されていることに由来します。しかしながら、”Olive leaf fossils have been found in Pliocene deposits at Mongardino in Italy. “と記載のあるように、イタリアのモンガルディーノの鮮新世の地層からもオリーブの葉の化石は発見されていることからも、明確に”いつ”が起源というのは難しいのかもしれません。
オリーブ栽培の始まりは約6,000年前の小アジア
野生のオリーブの原産地は小アジアで、豊かで森林の様に生育していたとされています。De Candolleの1883年の発表によれば、シリアからアナトリアを経由してギリシャに伝播したと考えられていますが、別の説ではエジプト下層部、ヌビア、エチオピア、アトラス山脈、ヨーロッパの一部の地域を原産地とする説もあるとのことです。その為、オリーブは地中海沿岸一体にを起源とし、約6,000年前に小アジアにて栽培されたのがオリーブ栽培の起源であると考えられています。
オリーブ栽培の広がり
コーカサス南部からイラン高原、シリアとパレスチナの地中海沿岸までをオリーブの原産地とし(Acerbo)、この2つの地域でオリーブの栽培は大きく発展し、キプロス島からアナトリアへ、あるいはクレタ島からエジプトへと広がっていきました。
紀元前16世紀
紀元前16世紀には、フェニキア人がギリシャの島々にオリーブを広め、その後、紀元前14世紀から12世紀にかけてギリシャ本土に導入され、オリーブの栽培が盛んになり、紀元前4世紀にはオリーブの植樹を規制する法令が発布され、オリーブの重要性が高まったと言われています。
紀元前6世紀以降
紀元前6世紀以降、オリーブは地中海諸国に広がり、トリポリ、チュニス、シチリア島に広まり。そこから南イタリアへ伝わっていきます。しかし別の説では、イタリアのオリーブの木は、トロイの崩壊(紀元前1200年)の3世紀前にさかのぼるとの主張もあります。別のローマの年代記作家のPenestrelloは、最初のオリーブの木は、ルキウス・タルクィニウス・プリスクス(Lucius Tarquinius Priscus the Elder)(紀元前616 - 578)の時代に、トリポリかチュニジアからイタリアに持ち込まれたというそれまでの伝統的な見解を主張しています。栽培は南から北へ、カラブリアからリグーリアへと進んでいきました。ローマ人が北アフリカに到着したとき、ベルベル人は野生のオリーブを接ぎ木する方法を知っており、ローマ人が占領した地域全体でオリーブの栽培を発展させていました。
ローマ人が拡大
ローマ人は地中海に隣接する国々を征服すると共に、その地でオリーブの木を人々に栽培させました。紀元前600年頃にはマルセイユに、そこからガリア全域に広がっていったのです。サルデーニャではローマ時代にオリーブの木が登場し、コルシカ島ではローマ帝国崩壊後にジェノバ人が持ち込んだと言われています。